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梅雨が来ないと「稲作」ができない。梅雨=イネの神様
「梅雨(ばいう)」とは、極東アジア特有のもので、中国の揚子江流域、朝鮮半島南部と、北海道を除く日本でみられる、夏至(げし)を中心として前後それぞれ約20日間ほどの雨期を言います。
中国では「Mai・yu」、韓国では「Maeue」といい、日本の「Bai・u」(音読み)は国際的にも通用する気象用語になっています。
中国の「梅雨」は、「梅の実が熟する頃の雨期」という「意訳熟語」です。昔の日本ではその伝わった「熟語」を「ばいう」と音読みんで、黴(カビ)がよく生える雨期なので、「黴雨(ばいう)」とも書かれました。
時期は旧暦の五月頃ですので、梅雨の「雨」は日本では「五月雨(さみだれ)」と呼ぶものと同様になります。すると「五月(さつき)晴れ」とは、元来梅雨の時期、わずかな晴れ間を指す言葉であり、現在の新暦(太陽暦)の5月「皐月(さつき)」の透き通るような晴天に使うのは誤用です。
旧暦・五月(さつき)は、まさに「田植えの月」という意味です。「さ」とは「田の神様」で、田植えの時一日だけ降臨され、みんなを激励されます。だから梅雨時期の稀な「五月晴れ」に、出来る限り一日で田植えを済ませるため、一家総動員で田植えをします。
神様が与えた苗は「さ・なえ(早苗)」、それを植えるのが「さ・おとめ(早乙女)」と、今も「田植え神事」などが行われています。
集落一帯の田植えが無事終わると、それを見届けた「さの神様」は天に昇られる。それに感謝し、地域みんなは「さのぼり」の宴を奉納して祝います。